
木村秋則という人を知っているだろうか。
彼は、普通の青森のリンゴ農家でしかない。(リンゴ農家に失礼かな?)
彼の物語を知った時、誰もが感動し、そしてそのリンゴを一度でいいから食べてみたいと思うだろう。
以前、本を何冊か買い漁った時に、何故だか分からないが何気なく手にとっていた本。
最近まで、呼んでいない本の山の中に積み上げられていた。
ここ最近仕事が上手くいかず悩んでいた。
イライラしていた。
こんな事なら、一会社員に戻った方がよっぽど楽なんじゃないかと思っていた。
やる気とどん底の気分が交互に現れ、葛藤の日々。
自分がいかに弱い心の持ち主かを思い知らされるようだった。
そんな時に彼の笑顔が無性に気になった。
そんな気分の中で開いた本。
普段の本の読み方は、時間が空いた時や寝る前などに、チョコチョコと読み進める方なのだが、仕事に取りかかる前に読んだに関わらず、夢中で読み漁り最後まで読んでしまった。
さわやかな、すがすがしい気分だった。
彼の苦境に比べれば、自分は大したことではない。
彼に情熱に比べれば、自分は大したものではない。
久しぶりにリンゴが食べたくなった。
植物が、虫が、自然がいとおしいと思った。
目の前のモヤモヤが少し晴れたような気がした。
コレだから本を読むことはやめられないのだ。
彼の作るリンゴは完全無農薬、そして無肥料。
彼のリンゴ畑は、雑草で生い茂り、虫が飛び回っている。
そんな畑なのに、虫や病気に弱い筈のリンゴは収穫される。
口コミだけで人気となり手に入れるのも難しいらしい。
そのリンゴは、ただ甘いのではなく、とにかく自然の味がするらしい。
さらに驚きは、そのリンゴはナカナカ腐らないらしい。
しかし、そこに辿り着くまでの、試行錯誤と苦境の日々。
追い詰められ、死を決意し導かれた場所で彼が見たものとは・・・
無農薬のリンゴの為に30年近くもかけて、まるで奇跡のようなことを成し遂げた物語です。
彼は人間が生み出せる強さと、自然が持っているはずの強さを教えてくれます。
そして人間と自然はつながっているんだと。
引用
リンゴの木は、リンゴの木だけで
生きているわけではない。
周りの自然の中で、
生かされている生き物なわけだ。
人間もそうなんだよ。
人間はそのことを忘れてしまって、
自分独りで生きていると思っている。
今、口にしている野菜や果物、ただ国産、道産というだけで安心していませんか?
名産地であるほど、生産量を稼ぐために、農薬や化学肥料を使う矛盾。
毒であっても少なければ、それでいいのか。
私達は気づき始めている。
もちろん、生産者でも気づきはじめている人達はいる。
でも、消費者の変化に気づかない企業は衰退するように。
農業の衰退は、時代の変化のせいではなく、求められるコンセプトの変化についていけない体質にあるのだと思います。
大きな勇気を貰うと共に、考えさせられることも多い話でした。
したっけの。
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